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やっぱり宮崎しか見なかった菅直人

この前、「菅直人の行き当たりばったりと、山形の首長のこんなのばっかり」を書いたけど、予定通り19日に討論会が行われた模様。なにしろ注目は宮崎県の東国原知事。ちくしょう、観光客だけじゃなくて波に乗りたがりの民主党まで呼び込むとは、と多くの地方自治体が思ったに違いない。

そんな場外乱闘は
東知事、民主党にムカッ!…道路特定財源公開討論会で(スポーツ報知)
東国原知事、民主党の時間変更に不満爆発…「カチンときた」(サンケイスポーツ)
をごらんあれ。
> さらに菅氏らが17から18日にかけ、車で宮崎などを視察したことには「感謝している」とした上で、
> 「今度は突然、日曜に車で来て『一緒に視察しましょう』なんて無理がある」。
に笑った。国会議員が国会優先なのはわかるけど、自分たちが流れを作れると思っているのが面白いなあ。もっとも、小沢さんは国会議員だけど大阪の選挙応援を優先して叩かれていたっけか。

さて、菅さん叩きはこの辺にして、産経が討論会と共同記者会見の様子をアップしているのでまずはその一覧をリンク。
【道路討論1】麻生全国知事会長「暫定税率維持を」
【道路討論2】菅氏「一緒に改革を」
【道路討論3】東国原知事「道路特定財源の確保を」
【道路討論4】逢坂氏「道路特定財源見直しは必須の課題」
【道路討論5】菅氏「道路は平等性が担保されていない」
【道路討論6】東国原知事「一般財源化した分を地方にくれるのか」
【道路討論7】麻生知事会長「一般財源化は方向としては正しい」
【道路討論8】東国原知事「地方に道路をつくってくれる根拠が見当たらない」
【道路討論9】東国原知事「道路の決め方を明確化してほしい」
【道路討論10】東国原知事「国交省から財務省に移すだけではないか」
【道路討論11】菅氏「道路ができれば活性化するというのはちょっと違う」
【道路討論12】麻生知事「腰を据えた本質的な議論をやってもらいたい」
【道路討論13】東国原知事「暫定税率を廃止されると予算が組みづらくなる」
【道路討論14】共同記者会見その1、東国原知事「民主党さんに対する印象は変わっておりません」
【道路討論15完】共同記者会見その2、東国原知事「道路を必要な、本当に真に必要な道路を本当に作っていただきたい」

前回、
> 大方、20日の新聞には
> > 東国原知事に開口一番「昨日、一昨日と車で行ってきました」とアピールした。
> って載るんだろうな。
なんて書いたけど、菅直人は
> 実は昨日と一昨日、宮崎県におじゃまをいたしまして、
> 大分空港から車でずっと南下して、延岡さらに宮崎、
> 翌日には東国原知事の生まれ故郷であります都城を通って、鹿児島に抜けて戻って参りました。
と期待を裏切らない出だしだったのでまずは及第点。

今回の議論の発端から発展までを見ている人はお気づきの通り、ガソリン高騰-ガソリン税の暫定税率-道路特定財源-中期計画(あるいは枝分かれして道路特定財源-地方財政)という極めてミクロからマクロな方向に向いている。「国民の生活が」「ガソリンがリッター25円安くなる」で始まった話が、いつの間にか「10年間で59兆円」という庶民の財布と縁遠い金額になって、きっといちばん困っているのは民主党。

昨日の討論会は、相手にするのが知事とあって、どうしても議論の中心が上に書いたものの右へ右へ寄ってしまうのは間違いない。民主党としては、どれだけ無傷にやり過ごし、地方の不満をなだめられるかにかかっていた。当然、見ていくポイントとしては「民主党がどれだけ主張できるか」ではなく「民主党がどれだけ知事の主張を取り込みいなしていけるか」のはずだった。

トップバッターの麻生福岡県知事は極めてスマートに地方の道路事情を説いた。生活道路にしろ産業基盤のための道路にしろ、地方のインフラは道路にかかっているというもの、また単に暫定税率を廃止するだけでは収入に欠損が生じることを述べる。上に書いたポイントでいくと「暫定税率-特定財源-地方財政」というラインだ。知事の意見表明としてはいたってシンプル。
〆めでは、この時期に問題提起をした民主党に対してチクリと一撃。
> それからこの問題は維持しておって、大きな、いろんな課題が提起されています。
> これは本格的にちゃんと腰を据えて議論して、整合的な対策を作る。
> そういう方向でやっていくべきですね。今われわれは予算審議をやっていますけど、
> 本当にこの予算を審議してどうなるのか。4月からいったいどうなるのか。
> 大混乱に陥ってしまうのではないかということでございます。

ところが、ここで菅直人がいきなり舵を切り誤る。先に書いた宮崎道中記を語った後に、
> 私も、地方にとって道路の必要性の高いところもまだまだあると。
> 問題はその必要性、その重要性、その優先度を、誰が、どういう基準で決めるかにある。
> つまり、これまで例えば宮崎が、東側が遅れていたのが、
> 公平公正なルールに基づいて、こうこうこういう理由で遅れたんですという、
> 私、説明があるかと思って、さっそく国土交通省を呼びました。
> しかし、残念ながら国土交通省というのは、遅れた理由についての一切説明はありませんでした。
と、「道路整備がなされなかった(偏っていた)のは国交省の恣意的判断のせいだ」という割と国政レベルの話をされてしまい、さっそく議論が噛みあわない。「知事が陳情に行く国交省を俺は呼びつけてやったぜ」「あいつら何の説明もしない悪者だぜ」と言われても困る。というか、暫定税率や特定財源をすっ飛ばして「中期計画」の話から入ってどうする。片やミクロからマクロ、片やマクロからミクロなのでこれはすれ違いが生じる。
しかも何をドジ踏んだのか、道路特定財源では完全に脱線となる高速道路の話にまで踏み込んだ。菅氏本人も
> 少なくとも道路公団、今で言う株式会社の費用は、これは税金は入っていません。
> 少なくとも、仕組みとしては減ることにはなっていません。
と認めているが、そもそもいわゆる税金で作っていると整備が遅くなるからという理由で誕生したのが有料道路制度であるし日本道路公団だったのだから、道路特定財源やその一般化あるいは税源委譲の議論では完全に勇み足だ。しかもそれに続けて、
> しかし、そういうものが無駄なかたちで使われていれば、
> 本当に必要なところに使われてないことになる。
> (中略)せっかく巨額の金を使って作った道路が、高い料金のために使われないのは
> 二重の損じゃないですか。そういう仕組みをどうやって変えるかという議論が
> やっと今始まったんです。
という、なんで宮崎から東国原知事が来たのかわからない展開に。「やっと今始まったんです」じゃなくて、「今この場でそんな議論を始めるなよ」という感じもしなくはない。道路特定財源が有意義に使われているかどうかに、(恐らくさらし者としてうってつけだったんだろうけど)アクアも本四を持ってくるのは、論理のすり替え以外にほかならない。これは非常に残念だ。

3番目に出てきた東国原知事は、最初こそ民主党への攻撃や高速道路の整備状況を語るなど、ややグダグダ感が否めないが、(思っていたよりも)ヤバい宮崎県の懐事情やインフラ整備が与える効果をとつとつと積み重ね、最後には交通基盤の整備について
> これをまず国の責任を持って平等にやってほしいんです。
> そこから地方間競争を、さあスタートと言ってほしい。
> その整備を最低でも平均ぐらいにはしてほしいというのが私の主張でございます。
と述べて〆た。これはいわゆる地方の首長の主張(シャレではなく)としておよそ一般的な意見ではなかろうか。これを「財源の委譲」「責任と権限の委譲」の三位一体に持っていくのは簡単だ。ただそこで議論を拡散させてはこの討論会を開いた意味が無い。

ところが、その次に出てきた逢坂議員は元ニセコ町長だけあって、議論をうまく持っていく。
> しかし、道路整備は性質が悪いモノで、個別の道路事業をとりあげて、
> この道路いりますか、いりませんか、この整備必要ですか、不要ですかといわれると、
> どれもこれもみんな必要なんです。
> 今よりも状況が改善されるということになれば、その説明は不用で、言えないのが現実です。
> (中略)全国の首長が「道路特定財源維持」という気持ちは十二分に理解できるが、
> もう一歩ひいた総合的な視点で、国民の生活の豊かさを考えてみるべきだ。
これは至極ごもっとも。地方の首長は「民主党の意見や対案には具体性が無い」と言うが、地方の首長が言う「道路特定財源は必要だ」にも、「絶対に必要だ」という部分がいかほどかという具体性が(維持修繕の予算は固定費用だけど)欠如しているのをさりげなく指摘している。
さらに、
> 私が思うのは今、私たちに必要なのはその整備の進め方や決定の仕方、
> それらを検討してこれまでの50数年よりも効率よく、
> 効果的に道路整備を進める方策に転換することが重要です。
> いままでのやり方を踏襲するだけではだめで、すなわち単なる財源の温存だけでは、
> 全国の首長が道路が必要といっているものは達成できないことを理解してほしいんです。
> 国民のみなさんから信頼を得て道路整備の王道を歩むためにも、
> 道路特定財源の見直しは必須の課題になっていると思います」
と上手く〆たつもりになっているが、これは道路特定財源=ハイスペックな道路の整備というイメージ戦略に乗ったもの。ここが少しばかり残念だ。自ら
> 私がかつてすんでいたニセコには高速道路はない。
> 町長時代に陳情したが、残念ながら実現していない
と言っているが、ではそういう自治体には道路特定財源は配布されていないのか?否。ニセコでは道路特定財源を陳情にだけ使っていたのか?否。国会で議論すべき道路(いわゆる国土開発幹線道路など)と生活道路を切り離して取り上げているのに、自分があたかも地方自治体の長として語っているかのような話の展開は、はたして理解されているだろうか。非常に惜しいなあと残念でならない。

さて4人話が出揃ったところでフリー討論に。ここでのポイントは「暫定税率分をどう扱うか、廃止するならその代替財源は?」「本則部分についての扱いはどうか、一般財源化するのであれば地方配分の額は?」というもの。当然、地方の長は、「地方財政を支えている収入がどうなるか」がメインになるので、ここをどう説得できるかだ。

(一般財源化後の配分について)
> 東国原:おそらく民主党は一括交付金として配ることを話していたが、
>  交付金になったら、地方分権もクソもない。
>  交付金は県とか市町村が国に申請し、頭を下げてもらいにいかないといけない。
> 逢坂:それは違います。
>  それについてはいわゆる今、国でやっているまちづくり交付金とかとは
>  まったく性質が違うモノで、純然たる一般財源として渡したいと思っている。
>  特に、国でいう道路整備臨時交付金の形、一般的な補助金はすべて廃止しようというのが
>  民主党の考え方です。それから、今の道路関係譲与税は今と同じ形で渡して、
>  使途だけは決めないとする。心配には及びません
> 麻生:理解できないのは18兆円の補助金を交付金にかえる過程で6兆円の節約をしろという。
>  そういう計算式。6兆円はどうやってやるのか。それで現実的に可能なのか。
>  現に18兆円の補助金のうち70%は義務的にどうしても使わないといけない社会保障関係です。
>  これは削れない、年々増やさざる得ない実態がある。
>  その実態を考えずに、ただ交付金にかえる。きれいなところだけ。
>  6兆円は一体でどうするのか。そこについて合理的な根拠がないことを懸念しています。
> 逢坂:道路特定財源の話からずれているが、麻生知事の今の指摘は、
>  私、実は19兆円のひも付き補助金廃止法案の策定に関わっているが、
>  およそ15兆が義務的経費だということは理解しています。
>  実は、一括交付金の総額はだいたい今の額よりも若干減る程度です。
>  そこから6兆出すということは私ども言っていません。
>  たぶんコミュニケーション不足なので、これは楽屋で詳しくお話しをした方がいい。
>  ここで話しても出発点の情報認識が違うので。
ああああ、麻生惜しい。
さて、この後、一般財源化に関して受益者負担の点から両知事と逢坂氏が熱く議論。これはけっこう面白い。時間をかけて行うべきだなあ。と思ったら、ここで菅直人。

> 菅:あの、先ほど申し上げたつもりですが、少し関連して逆に申し上げると、
>  高速道路部分は二重取りされていますね。通行料とガソリン代を二重取りされている。
>  プール化されているから、どちらからというと、収益性の高いところで稼いだものを
>  収益性の低いところの高速道路をつくってきた。
誰かこいつを吉祥寺に叩き返せよ。なんで税制の受益者負担の議論で有料道路制度が絡んで来るんだよ。

> 菅:ただですね、そのことと一般財源のときの財政配分をどうするかということ、
> それはいくらでも考えられるので、ある種の逆比例とか、
>  所得に対するある種の逆比例的なやり方とかありますから、
>  逆にいうと、一般財源でなければそういう公平な、あるいは過去にさかのぼる
>  公平な配分ができないということではないと思っています。
>  そこで逆に私の方から1つだけお二人にお聞きしたいのは、まさに決定システムですね。
>  宮崎県の東九州道路が遅れた。私から見ても、なんでこんなに遅れたかと思う。
>  問題は決定システムがまさに不透明でブラックボックスなんです。
>  それによって、いわゆる族議員的な力が左右する、あるいは自分のところだけ、
>  例えばアクアラインのような大間違いの計画でやっても誰一人責任をとらないで、
>  借金をどんどんつけ回していく。
>  こういうシステムを生んでいる背景が道路特定財源という制度そのものに入っている。
>  それについてどうお考えかですか。決定システムがおかしいんじゃないですか。
前半部分は支離滅裂だし、なんで道路特定財源の一般財源化、配分の話から道路族議員の利権誘導の問題に発展するんだろう。この人は結局国会議員なんだなあと思う。聞かれた両知事は話の腰を折られて可愛そうだ。と思ったら、さすが東国原知事。
> 東国原:その前に、ちょっとあの、(会場の民主党席から「答え避けてる」の声)
>  えっ、なんすか。あの、その菅さんの司会進行で進められると困るんですけども。
「答え避けてる」も何も、話を強引に展開したのは菅さんだろうに。

ダメな上司の責任は部下が取る。逢坂議員はかなり株が上がったよ今回。
> 逢坂:今回、暫定税率の延長をしたからといって仕組みが変わるとは思えない。
>  東国原知事は今、『今度はわれわれの番だと思ったのに』とおっしゃったが、
>  この道路中期計画の中に『今度はわれわれの番だ』という風に分かることが
>  書いてあるんでしょうかね。何も書いていないんですよ。
>  (中略)私はこの業界に長くいるので、何度もこれまで煮え湯を飲まされてきたので、
>  ぜひそのところは一緒に共闘組んでやらないと、本当に宮崎に道路できません。
と、ここで
> 東国原:民主党に誘われているんですか
> 逢坂:いやいや
というコントにつながるわけだけど、国政の議論のためには地方の追い風が必要だということが逢坂さんはよくわかっている。ゆえに、引っ張り込み方も上手い。東国原知事がそこで「道路建設の優先順位がわからない」と議論に乗ってくると、菅氏もさっそく食いつく。にしても結論が合わない合わない。というより合うわけがない。
> 東国原:だから新たな基準は国交省に求めていきたいと思うが、
>  そのためにも道路特定財源というのは確保しなければいけないだろうという話です。
> 菅:私はそこの考え方はまったく逆側なんです。
>  つまり、最初に確保されてしまうと、国会ですら総額については、もう議論しないで結構ですと。
>  聞いたんです国交省に。
>  (中略)ですから、私は基準を国土交通省にだけ作らせるのはだめだと。
>  逆にいうと、お金を先に渡して、あとは基準をもうちょっとしっかりしてください、
>  といって、この50年間か失敗してきたわけですよ。
>  逆にいえば、宮崎県の東の通りができなかったことを徹底的に、
>  その根拠を調べることによって不公平なことがなかったかどうかが明らかになってくると思います。
>  私は明らかに恣意的な判断がされてきた、その背景に一般財源じゃなくて特定財源
>  というものがあることをいっている。そこは考え方がかなり違いますね。
考え方が違うのは、知事たちが道路特定財源や道路整備が明日どうなるかを気にしているのに対して、菅氏が道路特定財源を使ってきた国交省らを糾弾したいという違いから来ているのかな、と考えてしまう。一人予算委員会なのでさすがに浮いてきている。
> 菅:つまりは、国土交通省がどのくらいの力を持っているか、
>  麻生さんはご存じなんじゃないかと思う。
>  それを壊さない限りは結局は自分たちが持ったところに対して、陳情合戦をされるわけでしょ。
>  (中略)そういう意味ではまさに決め方そのものを変えなければならないというところで、
>  私は皆さんとも意見一致すると思うんです。いかがですか
> 東国原:ですから、決め方を明確化してほしいというのは私も同じ立場なんです。
>  で、その決め方を示してほしいと。同時にそれが一般財源化ではないんですね。私の中で。
>  安定した財源を確保した中で決め方を示してくれと、
>  私は与党さん、あるいは政府には言いたいですね
> 菅:安定するということは逆に言うともう、総額が決ってますから、
>  つまりは減らされることがないから、平気で無駄遣いするというのが、
>  私の少なくとも20数年の国会議員としての経験です
> 東国原:経験を言われるとちょっと困るんですが、私もね。
と、「与党さん、あるいは政府には言いたいですね」という完璧に民主党スルー宣言をこれまた完全にスルーする菅氏。ハイレベルすぎる。やはり、「国交省が悪だ」「地方はこうしなきゃダメだ」というのを地方の知事相手に説くというのは、単なる「民主党の講演会」でしかない。
しまいには、逢坂氏もこれ見よがしに「ある省庁の予算の積算書」とやらを持ってくるが、
> 東国原:どこの省庁のですか
> 逢坂:まあ、ある省庁とだけ言っておきますが(中略)これ一般会計なんですよ。
>  特別会計になるとさらに遠いんですよ。だから本当に必要な道路を安いコストで
>  できるかどうかっていうのは、特別会計じゃチェックすらできないんですよ
> 東国原:いや、今日は道路の話ですから、その、どこの省庁のです?
> 逢坂:いえいえ、ですから道路特別会計というものだと、チェックが国民からさらに遠くなるんです。
>  それを少しでもわれわれの手元に引き寄せて、見える形にして、
>  本当に宮崎に必要な道路や私の地元の函館に必要な道路を作りたいんですよ。私も
と、微妙に議論のすり替えを見破られていささか迷走気味。

ここで、菅氏が道路整備による地域社会の発展というテーマに話を振ると、ストロー効果や緊急医療の問題に話が広がる。地方は緊急医療における道路整備の重要性や、道路以外にも波及しうる財源であることを語り、民主党側は一般財源化すれば道路だけではなく病院や教育といったインフラの形での整備も可能と応酬する。ありがちな展開ではあるが、非常に噛みあってて面白い。
と、ここで菅直人が、
> 菅:そろそろ時間が10分を切ったところですので、どうでしょう、
>  最後に2分間ずつ、それぞれのまだ、言い足りなかったところをお話しいただければ
>  と思うんですが、順番は同じでいいですか、麻生さんから
となぜか仕切る。

> 麻生:秋の間にですね、やはり、予算編成、どういう点が問題があるということで、
>  政府与党はもっと真剣な議論をしてですね、そして整合した、合意されたような、
>  基本的には問題点は合意された形で提出すべきですね。それができていない。
>  提出された後にこういうことになって、われわれの方は地方の方でですね、
>  予算編成をしようがないという状態なんですね。だからわれわれですね、とにかくですね、
>  とにかく暫定税率は維持してくれと、そうでないとどうしょうもなくなるぞ、
>  ということでいるわけですね。
と、今回余波をおもいっきり食った地方の長らしいご意見。議論が年度末まで収束しなかった場合、民主党は自民党の責任に押し付けられるだろうけど、知事はそうもいかないわな。
> 菅:しかし、私たちの立場から言えば、何十年ぶりかに初めてやってきた議論のチャンスなんです。
>  昨年の参院選の与野党の逆転がなければ、こういう議論はほとんどされないで、
>  3日とか4日の国会審議でするすると通っていたんです。
>  まさに政府が出している案はですよ、1年ではありません。半年でもありません。
>  10年間この制度をそのままやりますという案、まさにそういう決意を持って出してきた案なんです。
>  ですから私たちとしては10年間、59兆(円)、このままのやり方を続けるのか、
>  それとも根本から変えるのか、私は国民に信を問うだけの意味のある議論だと、
>  このように思っています

議論は結局互いに平行線のまま。記者会見での麻生知事と菅氏の発言がそれを物語っている。
> 麻生:第1の点はですね。民主党さんはもう少しですね、言葉はですね、
> 立派な言葉を使っておられるが具体的にはどうするのか。
>  どういう制度的な制度改革をやろうとしているのかという代案をですね、
>  示してもらいたいという感をますます強くいたしました。
>  2番目の点はですね、私がさっき申し上げたのは、ともかくわれわれの立場は
>  暫定税率はまず維持しといて、いろいろな問題提起されていますから、
>  それはご指摘の問題を含んでいるから、
>  ちゃんと検討すればいいということ言っているんですけども。
>  その際にはわれわれですね、知事会としてちゃんと地方の意見という形で
>  まとめて提起するということを考えます
> 菅:対案という意味なんですが、きちんとした対案を出しているつもりです。
>  まずは暫定税率が切れる。切れていいと。それから特定財源、道路特定財源を廃止する。
>  そして財政配分について、いろいろご意見はありますが、
>  わが党としては地方の減収にならないようなかたちで対応すると。
>  きちんと基本的な案を出している。
>  (中略)問題は、今よく対案といわれるのは、この自民党政府が出したですね、
>  国土交通省が出した道路の中期計画的なものを出さないか、ということを言うんですよ。
>  しかし私たちはこの土俵そのものがおかしい。
>  こういうとらえ方そのものがおかしいということを言っているわけですから。
>  その土俵の中でですね。ですから、私は宮崎の道路は個人的に必要だと思いますが。
>  そういうものをこういう形で国土交通省が恣意的に決めている、
>  そのこと自体を壊すことが最大の対案です。民主党が対案を持っていないんじゃないです。
>  一番大きな対案を出していると、そう理解してください
東国原知事が「とにかく道路を造ってほしい」という陳情型になっていたのも残念だったけど、それをいなしつつ、地方の窮状を汲むような姿勢が感じられなかった永田町の菅さんにも残念な討論会だと思った。

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2008年02月20日 17:36に投稿されたエントリーのページです。

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