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菅直人の行き当たりばったりと、山形の首長のこんなのばっかり

どうも「ガソリン国会」の熱は小康状態を保っているようで、これは与党に有利なのか野党に有利なのか。
そもそも、「原油の高騰が家計を圧迫している」として槍玉に上がった暫定税率の問題、「ガソリンが25円安くなる」という言葉で短期決戦を図った(ように見えた)野党だけど、参院選勝利のベースとなった地方の首長から「道路特定財源のカットは死活問題」と反撃を食らい暗雲が立ち込める。結局、いつの間にか税制の面で言えば一般財源化の問題だったり地方分権だったりに移り、道路特定財源という目的税の使い道の点では「道路の中期計画」だったり、果てはレクリエーションへの使用問題だったりと拡散してしまった感じ。おっと、誤解のないように書いておくと、道路特定財源を職員の余暇に使うのを見逃せって言っているわけじゃない。数万円を論じるあまり数億円の論議が流れるのは(流れるんだよこれが。マスコミが食いつきやすいんだもん)逆におかしいことを招くと思うだけ。
野党にとっていちばん誤算だったのが、論点が拡散したことよりも地方の首長から思いのほか反発が強かったことよりも、ガソリン価格が小康状態になってしまったことというのが、いっとう情けないことだけど。石油情報センターの価格情報によれば、レギュラーガソリンの1リットルあたりの価格は、昨年の12月10日がピークで155円50銭。第169回国会が召集された1月3週には153円台に。そして2月13日に発表された同12日現在の平均価格は152円30銭。12月1日に石油元売各社がいっせいに値上げした前のレベルまでは下がっていないものの、実はピーク時から8週連続で下落している。3月末までの約6週間で風を呼び込めるのはどちらだろうか。

さてその頃、かつてお遍路姿で四国を回った菅直人は車で東九州へ。
「今日は車で来ました」 民主・菅氏が宮崎・延岡市入り(朝日新聞)
大分空港~延岡3時間、視察の菅氏「幹線道路がないのは実感」(読売新聞)
車で縦断 道路事情見えた!? 民主・菅氏、宮崎県内を視察(西日本新聞)
菅氏が宮崎の道路視察「この遅れは異常」(ニッカンスポーツ)

> 出迎えた首藤市長に開口一番「今日は車で来ましたので」とアピールした。
> 延岡市を先日視察に訪れた民主党の若手国会議員はJRで現地入りし、
> 首藤市長から「車で来ないで、高速道路のない不便さがわかるか」などと
> 批判を受けた経緯があるからだ。(朝日新聞)
おお、なんという軽薄さ。カイワレを食べた頃から一歩も進歩が見られない。

まあそれでも
> 大分空港から延岡市の視察先まで車で約3時間もかかり
> 「東九州に幹線道路がないというのは実感できた」という感想も漏らした。(読売新聞)
という一定の理解を得られたことはやはり百聞は一見に、ということか。

というよりも、これまでこの人はこの地域に思いをめぐらせたことが果たしてあったのかと素で思ってしまう。羽田から大分空港までかかった時間のさらに倍をかけて隣県に行くというこの状況を。かねてから,
地方のことを考えるのに日本地図を見るだけで考える人は嫌いだ、と何度か書いているけど、この人は地図すらも見たことが無いんじゃないかな。見たことがあるとすれば衆議院の選挙区割表程度か。

実は、
> 19日には東国原英夫宮崎県知事らと都内で公開討論が予定されており、
> 菅氏は「現場を見ておくのは重要だ。討論会が実り多いものにできる」と述べた。(ニッカンスポーツ)
この最後の文を読むまでは、このエントリーも別の〆め方になるはずだった。一桁国道に並行する高速道路の整備率が50%未満なのは、この東九州道(R10・一桁じゃないけど上位10番なので)と山陰道(R9)、そして日沿道(R7)だ、という話の展開で、「ならば日沿道にも菅直人を」という内容に持っていくつもりだったけどご破算に。なんだ。この1泊2日の行程も話題づくりの討論会のための付け焼刃でしか無いのか。大方、20日の新聞には
> 東国原知事に開口一番「昨日、一昨日と車で行ってきました」とアピールした。
って載るんだろうな。やれやれがっかりだ。

しかも嫌らしいのは、道路特定財源にしろ中期計画にしろ高速道路を造るための予算だというような世論誘導だ。地方の首長の中には当然「高速道路が来れば我が町は栄える」というお花畑な人もいるだろうが、実際はそうではなく、地方道整備はもちろん歩行者の安全確保や雪道の安全確保など生活交通の維持保全に大きな貢献をしていることはあまり世で取り上げられない。これはいかんともしがたいもの。

とりわけ、中期計画を見れば一目瞭然なのだが、中期計画65兆円(国交省素案ベース)のうち、高速道路など基幹ネットワークに費やされるのは24兆円。これに対し、渋滞対策や開かずの踏み切り対策、生活基幹道路ネットワークの形成など地域交通に充てられるのが33兆円(うち13兆円は両者に重複)と、実は長距離交通網の形成よりも生活交通の充実に結びつく金額の方が大きいのだ。既に高速道路が通っているような自治体ですら暫定税率撤廃に反対するのは、こういうわけ。こちらの使い道の議論(ちょっと地方分権の話は置いておいて)もそこそこに、やれ地方の高速道路がどうこうだの、需要予測がどうこうだの、というのはいかがなものか。こと、これの先鋒となっているのが、1泊2日でわかった気になって延岡を後にする東京18区選出のお方なのだから片腹痛い。渋滞対策箇所の約1割を占め、開かずの踏み切りの13%を抱える東京のお方は、そちらの議論をする意思と覚悟はおありなのだろうか。

さて、最後にそんな週末に山形で行われたこんなお話。
道路特定財源:確保求めて県大会 知事ら800人出席 /山形(毎日新聞)

> 斎藤弘知事、市町村長、県議など約800人が出席し、
> 揮発油(ガソリン)税の暫定税率維持や、年度内の関連法案成立を求める緊急決議を採択した。
>
> 県や県議会など地方6団体で組織する県自治体代表者会議主催。
> 国会議員では、自民党の遠藤武彦衆院議員が出席し、
> 自民、公明党の他の4議員は秘書などが代理出席、民主党の2議員は欠席した。

相変わらずこちらもこちらで前時代的なことをやっている。
やっぱりお遍路さんを庄内に連れてくるべきだったかもしれない。

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2008年02月18日 15:52に投稿されたエントリーのページです。

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