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道路特定財源を高速道路会社の債務に投入?

高速道債務に国費投入、国交省など合意・改革に逆行(日本経済新聞)

> 国土交通、財務両省が2008年度予算から、
> 民営化した旧日本道路公団などの約40兆円の債務の一部を
> 国費で肩代わりすることで合意したことが明らかになった。
> 道路特定財源を使って高速道路会社の負担を軽減し、通行料の引き下げにつなげるという名目だ。

これが事実だとすれば、実に残念なことだ。あ、先に書いておくけど、感想が「残念なことだ」でお分かりの通り、今日は感情論がベースです。ごめんなさい。
さて、記事では日経の記者も

> 利用者にメリットがあるように見えるが、
> 国費投入は「国民負担なしに債務を返済する」との民営化の趣旨に反し、
> 財政負担の増大につながる。
> 構造改革に逆行する動きで、安倍晋三首相の判断が問われる。

と書いているが、おおよそ同意する。というのも、そもそも民営化における議論の根幹の一つには、旧公団を民間会社に変えるという点で、通行料金の範囲内で債務を返済するという、身の丈にあった(そして本来の趣旨でもある)高速道路の建設管理を行う会社像があったはずである。また、小泉改革のキーポイントでもあった財政投融資改革の一つでもあった、いかなる経路であれ高速道路建設に回る政府の金を無くすというのもあったはずである。(本四公団の債務には既に道路特定財源が投入されていたけど、金額の大きさ的にもここではちょっと除いて考える)
こうした前提を反故にすることは、どう見ても「お金余っちゃうけど、税率下げるのも嫌だし、地方に回すのも嫌だし、他の分野に回すのも嫌だし、だったら高速道路の債務返済に投げ込めばいいか」というような安直な考えにしか見えない。がっかりの一言だ。政府による「お金の使い方」に関するプライドが崩壊するとともに、2050年までに債務を完済するという協定まで結ばせた旧四公団のプライドも潰している。そりゃ、旧四公団にしてみれば「やりぃ、政府が金出してくれるぜ」っていう部分はあるかもしれないけれど、カチンとした協定組んで「さあこれから」という時に、気まぐれで政府が金をよこして来るというのは、気分のいいものではあるまい。というか、そういう気分というか気概でやってほしいと思う。

さて、ここで最終的な鍵を握るのが安倍総理だろう。道路特定財源を旧四公団の債務のために投入するというのは(前述の本四の例は除いて)枠組みすら予定されていない。
安倍総理は今年の年頭所感
> まず真に必要な道路予算の額を決めた上で、
> それ以上の揮発油税などの税収はすべて一般財源とすることとします。
と語っている。はたして旧四公団の債務に投入することは、「真に必要な道路予算」と言えるのか?この釈明もかなり難しいのではなかろうか。

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2007年01月04日 14:17に投稿されたエントリーのページです。

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